遠近両用とは?老眼鏡・遠近両用眼鏡・遠近両用コンタクトレンズの違いを解説
老眼(老視)では、遠くは見えるのに手元が見えにくい、手元に合わせると遠くが見えにくいといった不便を感じることがあります。老眼を矯正する方法には、老眼鏡、遠近両用眼鏡、遠近両用コンタクトレンズなどがあり、それぞれ見え方の仕組みや使い方が異なります。この記事では、それぞれの特徴と違いを整理しながら、自分に合う方法を検討するときのポイントを解説します。
作成日:2022/12/14 更新日:2026/10/05

この記事のポイント
- 遠近両用は、眼鏡とコンタクトレンズのいずれにもあります。
- 遠近両用眼鏡は「交代視」、多くの遠近両用ソフトコンタクトレンズは「同時視」と、見え方の仕組みが異なります。
- どの矯正方法が合うかは目の状態によって異なるため、眼科医に相談しながら確認しましょう。
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老眼とは
私たちの目は、遠くが見える(矯正)状態であっても、「調節」を働かせることで、中間の距離や近くのものにピントを合わせることができます。調節には、目と脳の連携が関わっています。
目の中では、「水晶体」というレンズが厚くなったり薄くなったりすることで、ピントが合う距離を変えています。水晶体は年齢とともに少しずつ硬くなるため、近くを見るときに厚くなりにくくなっていきます。



その結果、調節する能力は10代から少しずつ低下し、「遠くが見える(矯正)状態のときに見ることができる最も近い点」である近点は、年齢とともにだんだん遠ざかっていきます。
40代になり、この近点が30~40cmくらいになると、日常生活のなかで「あれ?近くが見えにくい?」と感じるようになります。調節力の低下と近点の遠ざかりは10代の頃から始まっていますが、日常生活で不便を感じ始めることで、その状態が「老眼」と呼ばれるようになるのです。
老眼を矯正する方法には、身近なものとして老眼鏡、遠近両用眼鏡、遠近両用コンタクトレンズがあります。それぞれ見え方の仕組みや使い方が異なるため、違いを理解したうえで検討することが大切です。
老眼鏡
老眼鏡は、近くを見るのに適した度数だけをもつ眼鏡です。老眼鏡をかけると、よく見える範囲が手元に移動するため、手元の文字やものが見やすくなります。見たいものの距離に合わせて度数を調整しやすく、手元を見る場面では見え方の質を得やすいことが老眼鏡の長所です。

しかし、老眼鏡をかけたままでは遠くが見えにくいため、見たいものの距離に応じて老眼鏡をかけたり外したりする必要があります。また、外出時に老眼鏡を忘れると、手元が見えにくくて困ることもあります。こうした不便を軽減する選択肢として、遠近両用眼鏡や遠近両用コンタクトレンズがあります。
遠近両用とは
「遠近両用」とは、その名のとおり、遠くから近くまでの見え方を補うことを目的とした仕組みです。一枚のレンズに、遠くを見るための度数(遠用度数)や近くを見るための度数(近用度数)など、複数の度数が含まれているため、見たいものの距離に応じて眼鏡をかけ外しする手間を減らせます。
眼鏡レンズにもコンタクトレンズにも、遠近両用タイプのレンズがあります。遠くは裸眼でよく見える方でも、遠くの度数を入れない設計にすることで、遠近両用の眼鏡やコンタクトレンズを使用できる場合があります。
遠近両用眼鏡
遠近両用眼鏡は、レンズの上側に遠用度数、下側に近用度数が入っています。その間には、中間の距離を見るための度数が配置され、遠くから近くまでの見え方をつなぐ構造になっています。
眼鏡のレンズはフレームに固定されているため、視線を移動させることで、見たいものの距離に応じてレンズ内の度数を使い分けます。

このような見え方を「交代視(こうたいし)」といいます。視線移動に慣れる必要があり、近用度数を強くすると視野の周辺に歪んで見える部分が生じやすくなります。一方で、ピントが合っている範囲では、比較的見え方の質を得やすいことが特徴です。
遠近両用コンタクトレンズの種類
遠近両用コンタクトレンズも遠近両用眼鏡と同様に、一枚のレンズに複数の度数をもっています。近視や遠視を矯正するコンタクトレンズと同じように、ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズがあります。
ハードコンタクトレンズには「交代視型」と呼ばれるものがあり、見たいものの距離に応じて視線を変え、レンズ内の度数を使い分けます。これは、遠近両用眼鏡と近い使い方です。ハードコンタクトレンズは眼鏡レンズよりも小さいものの、硬さがあるため、レンズを下まぶたの上にのせて下目づかいをすることで、レンズ周辺にある近用度数を使える場合があります。
一方、やわらかいソフトコンタクトレンズでは、視線を移動させても目とレンズの位置関係が変わりにくいため、「交代視型」は一般的ではなく、「同時視」と呼ばれる見え方で遠くから近くまでの見え方を補います。

同時視とは、見ている距離にかかわらず、遠用度数から近用度数まで、そのレンズがもつ複数の度数を同時に使う見え方です。ハードコンタクトレンズにも同時視型のものがあります。
遠近両用コンタクトレンズでは、一枚のレンズがもつ度数の数にも多様性があります。
- 2重焦点(バイフォーカル)
一枚のレンズに、遠用・近用の2種類の度数があります。

- 累進屈折(マルチフォーカル)
一枚のレンズに、遠用・近用の2種類の度数と、その2つの度数の間を滑らかにつなぐ複数の度数があります。

ほかにも、レンズの中央に遠用度数があるもの・近用度数があるものなど、レンズ内の度数の配置には製品によって多様性があります。
この遠用度数と近用度数の差を「加入度数」といいます。加入度数が高いほど、手元を見るときのサポートが強いということを意味しています。製品によりますが、加入度数は製品により1種類しかないものから4種類(4段階)あるものまで、こちらもさまざまです。
こうした違いは、見え方の違いにもつながります。製品によって見え方や慣れやすさが異なるため、眼科医に相談しながら、自分の目の状態や生活シーンに合う選択肢を確認しましょう。
老眼鏡・遠近両用眼鏡・遠近両用コンタクトレンズの違い
老眼鏡 | 遠近両用眼鏡 | 遠近両用コンタクトレンズ | |
|---|---|---|---|
見え方の仕組み | 近くを見るための度数のみ | 交代視(視線移動で度数を使い分け) | 多くはソフトタイプで同時視(全度数を同時使用) |
メリット | 手元を見る場面で見え方の質を得やすい | 1本で遠くと近くの見え方を補いやすい | 眼鏡のかけ外しを減らせる場合がある |
デメリット | 見たいものの距離に応じてかけ外しが必要 | 視線移動に慣れが必要な場合がある | 見え方に慣れるまで時間がかかる場合がある |
向いている人の例 | 近くの作業が中心の方 | 眼鏡のかけ外しを減らしたい方 | 眼鏡のかけ外しを減らしたい・活動的な方 |
同じ「遠近両用」だけど違う 遠近両用眼鏡と遠近両用ソフトコンタクトレンズ
同じ「遠近両用」という名称がついていても、遠近両用眼鏡と遠近両用ソフトコンタクトレンズでは、見え方の仕組みが異なります。遠近両用眼鏡は、視線移動によってレンズ内の度数を使い分ける「交代視」です。
一方、やわらかいソフトコンタクトレンズは、目とレンズが一緒に動くため、視線移動による度数の使い分けには向いていません。多くの遠近両用ソフトコンタクトレンズでは、「同時視」によって遠くから近くまでの見え方を補います。
同時視とは、度数を使い分けるのではなく、複数の度数を同時に使いながら、脳がその中からピントの合っている像を視覚として認識しようとする見え方です。
同時視の仕組みを、遠くの景色を見る場面を例に考えてみましょう。遠近両用ソフトコンタクトレンズを装用して、遠くにある塔に注目している場面を想定します。
遠用度数を通して見た塔にはピントが合っています。しかし同時視では、遠くを見ているときも、近用度数や中間距離のための度数を通した像も同時に入ってきます。これらの像は塔にピントが合っていないため、ピンぼけした塔として重なります。つまり、くっきりした塔の像に、ピンぼけした塔の像が重なって見える状態になります。
ここで重要になるのが、脳による視覚情報の処理です。ピンぼけの塔とくっきりした塔が重なった情報を受け取った脳は、その中からピントが合っている像を視覚として認識しようとします。この処理によって同時視が成り立ち、多くの遠近両用ソフトコンタクトレンズに活用されています。
同時視は、視線移動を必要としにくく、広い視界を得やすいことが特徴です。一方で、近用度数が強くなるほど、ピントの合っている像に重なるピンぼけの像が目立ちやすくなる場合があります。
なお、白内障手術で用いられる多焦点眼内レンズにも、同時視の仕組みを利用したものがあります。
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老眼鏡と遠近両用コンタクトレンズは併用できる?

遠近両用コンタクトレンズを装用していても見えにくい場合や、小さな文字を見たい場合には、遠近両用コンタクトレンズを装用した状態で老眼鏡を使えることがあります。これは、交代視型でも同時視型でも同様です。
ただし、目に異常があるときは遠近両用コンタクトレンズを装用できない場合があります。遠近両用コンタクトレンズを使用している場合でも、必要に応じて眼鏡を併用できるよう、眼科医に相談しながら準備しておくと安心です。
よくある質問
ここまで遠近両用について解説しました。こちらでは、よくある質問をQ&A形式でまとめています。気になる点がある場合は、眼科医に相談する際の参考情報として確認してください。
関連記事リンク:老眼にはどんなコンタクトレンズが合う?遠近両用コンタクトレンズや老眼の症状を紹介
Q.遠近両用コンタクトレンズにはすぐ慣れますか?
A.遠近両用コンタクトレンズの見え方に慣れるまでの期間は、個人差が大きい可能性があります。慣れの早さは使用環境や度数にも左右されるため、一概には言えません。それまでの単焦点コンタクトレンズの使用経験によって数日で慣れる場合もあれば、加入度数の度合いによっては1~2週間ほどかかる場合も考えられます。
特に遠近両用眼鏡の使用経験がある方は、遠近両用コンタクトレンズと見え方の仕組みが異なることで、最初は見え方の違いを感じる可能性もあります。
遠近両用コンタクトレンズの使用に不安や疑問がある方は、眼科医に相談し、検査用コンタクトレンズで見え方を確認するとよいでしょう。
Q.遠近両用眼鏡と遠近両用コンタクトレンズは併用できますか?
A.両方を同時に使用すると度数の調整が複雑になり、視界の揺れや歪み、疲労感につながる場合があります。そのため、自己判断での同時併用は避け、必要な場合は眼科医に相談しましょう。
遠近両用眼鏡の見え方は、視線を動かすことで見たいものの距離に応じてレンズの度数を使い分ける「交代視」です。一方、多くの遠近両用コンタクトレンズの見え方は、全ての度数を使いながら脳がピントの合う像を認識する「同時視」です。
両者はレンズの構造やものの見方、見え方の仕組みが異なるため、併用するとそれぞれの特徴を十分に活かしにくい場合があります。見えづらさや不快感につながる可能性もあるため、使い分けや併用については眼科医に相談しながら確認しましょう。
まとめ
老眼を矯正する眼鏡やコンタクトレンズには、それぞれメリット・デメリットがあります。生活シーンや見え方の希望に応じて使い分けることも選択肢の一つです。ただし、どの矯正方法が合うかは目の状態によって異なります。
まずは眼科医に相談し、自分の目に合った方法を確認しましょう。
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