「目が悪い」状態やその原因とは?近視・遠視・乱視の仕組みと予防・対処法について解説
日常生活で見えにくさを感じたとき、私たちは「目が悪くなった」と表現することがあります。では、「目が悪い」とは、具体的にどのような状態なのでしょうか。見えにくさの背景には、近視・遠視・乱視などの屈折異常のほか、加齢や目の病気が関わることもあります。原因に応じて適切に対処するためには、まず見えにくさが生じる仕組みを知ることが大切です。この記事では、近視・遠視・乱視の仕組み、子どもの近視の発症・進行に関わる要因、加齢や目の病気による見えにくさ、その予防・対処法について解説します。
乱視と診断され、コンタクトレンズによる矯正を検討している方は、以下の製品情報もご確認ください。
作成日: 2024/11/13 更新日:2026/10/08
※アキュビュー® の乱視用製品は不正乱視の矯正に対応していません。

この記事のポイント
- 「目が悪い」と感じる主な原因の一つは、近視・遠視・乱視などの屈折異常により、目に入った光が網膜上に正しく焦点を結ばないことです。
- 屈折異常のほかにも、加齢による老眼や目の病気が原因で見えにくくなることがあります。
- 近視の発症や進行に関わる生活習慣を見直すとともに、見えにくさを感じた場合は眼科で検査を受け、原因に応じた対処を行うことが大切です。
目が悪いとは?
「目が悪い」と一言で言っても、その状態や原因は人によって異なります。
見えにくさの主な原因の一つに、屈折異常があります。屈折異常とは、目に入った光が網膜上に正しく焦点を結ばない状態で、「近視」「遠視」「乱視」に分けられます。それぞれ、焦点が合う位置や見え方が異なります。
人間の目に入った光は、角膜(黒目)と水晶体で屈折し、網膜上に焦点を結びます。網膜で受け取った光の情報は、視神経を通じて脳へ送られ、映像として認識されます。ピントを合わせる働きが休んでいる状態(無調節状態)で、遠くから入った光が網膜上に焦点を結ぶ状態を「正視」といい、遠くがはっきり見えます。
このように、屈折異常では焦点が網膜上に正しく結ばれないため、見えにくさが生じます。

屈折異常の種類と仕組み
ここからは、近視・遠視・乱視について、ピントが合う位置、見え方、主な原因をそれぞれ詳しく見ていきます。
種類 | ピント(焦点)が合う位置 | 見え方 | 主な原因 |
|---|---|---|---|
近視 | 網膜より手前 | 近くの物は見えるが、遠くの物がぼやけて見えにくい | 眼軸長(眼球の奥行き)が正常より長い、または角膜や水晶体の屈折力(光を曲げる力)が強い |
遠視 | 網膜より後方 | 遠視の程度や年齢、目の調節力によって異なり、遠くも近くも見えにくいことや、目が疲れやすいことがある | 眼軸長が正常より短い、または角膜や水晶体の屈折力が弱い |
乱視 | 正乱視では方向によって1点に定まらず、不正乱視では焦点を結ばない | 物がぼやけたり二重に見えたりする | 角膜や水晶体のカーブが方向によって異なるなどの理由で、光が一つの焦点に集まらない |
近視の仕組み
近視があると、程度により近くの物はよく見えますが、遠くの物はぼやけて見えにくくなります。

近視では、目に入った光の焦点が網膜より手前に結ばれるため、遠くの物がぼやけて見えます。この状態は、眼軸長や角膜・水晶体の屈折力によって生じます。
近視は、原因によって次の2つに分けられます。
- 軸性近視:眼軸長が正常より長いために、焦点が網膜より手前で形成されます。
- 屈折性近視:角膜や水晶体の屈折力が強すぎるために、焦点が網膜より手前で形成されます。
このうち頻度が高いのは軸性近視です。
遠視の仕組み
遠視は「遠くがよく見える状態」と思われがちですが、見え方は遠視の程度や年齢、目の調節力によって異なります。調節力で補いきれない場合には、遠くも近くも見えにくくなることがあります。
常にピント合わせが必要で、調節(目がピントを合わせる働き)の負担が大きいため、目が疲れやすいといわれています。
遠視では、ピントを合わせる働きが休んでいる状態で、光の焦点が網膜より後方に結ばれます。そのため、調節で補えない場合は網膜上にピントが合わず、ぼやけて見えます。

遠視も、近視と同様に、原因によって次の2つに分けられます。
- 軸性遠視:眼軸長が正常より短いために、焦点が網膜より後方で形成されます。
- 屈折性遠視:角膜や水晶体の屈折力が弱いために、焦点が網膜より後方で形成されます。
いずれにしても遠視は、軸性・屈折性のどちらでも、眼軸長に対して屈折力が足りない状態です。遠視の程度と年齢によっては、調節で屈折力を補い、ピントを合わせられる場合があります。
なお、新生児の眼軸長は短く(約16mm)、一般に遠視傾向があります。成長とともに眼軸長は長くなり、6~7歳頃には成人に近い値(約24mm)に達します1)。
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乱視の仕組み
乱視とは、角膜や水晶体のカーブが方向によって異なるなどの理由で、目に入った光が一つの焦点に集まらない状態です。乱視は、大きく「正乱視」と「不正乱視」の2つに分けられます。

正乱視では、角膜や水晶体のカーブが方向によって異なります。そのため、光が一つの焦点に集まらず、物がぼやけたり二重に見えたりします。
正乱視は、カーブが強い方向によって「直乱視」「倒乱視」「斜乱視」の3つに分けられ、それぞれぼやけ方や二重に見える方向が異なります。
- 直乱視:縦方向のカーブが強い
- 倒乱視:横方向のカーブが強い
- 斜乱視:斜め方向のカーブが強い
正乱視は、乱視の程度や目の状態に応じて、眼鏡やコンタクトレンズで矯正できる場合があります。
一方、不正乱視とは、角膜や水晶体の疾患などによって光の屈折が乱れる状態で、焦点は結ばれません。不正乱視には、角膜に原因があるものと、水晶体に原因があるものがあります。
このうち、角膜に原因がある不正乱視は、ハードコンタクトレンズで矯正できる場合があります。
近視になる原因は?
近年、子どもの近視が世界的に増加しており、特にアジア圏で大きな課題となっています。近視の発症や進行には未解明な部分がありますが、遺伝的要因と環境要因の両方が関与すると考えられています。
近視の発症や進行に関わる環境要因として、パソコンやスマートフォンの使用、デスクワークなど、近くを見続ける近業が挙げられます。一方、子どもの屋外活動時間を確保することが、近視の発症リスクを低減する可能性も報告されています2)。
また、近視の進行には眼軸長の伸びが関係し、3,000ルクス以上の光を1日約40分浴びることと、眼軸長の伸びの抑制との関連を示した報告もあります3)。
これらの報告を踏まえ、近くを見続ける時間を減らし、無理のない範囲で屋外活動の時間を確保することが大切です。
屈折異常以外で見え方が悪くなることも
屈折異常以外にも、加齢による老眼や目の病気によって見えにくくなることがあります。
①加齢(老眼)
②目の病気
①加齢
人は年齢を重ねると、近くが見づらくなる老眼(老視)が起こります。加齢に伴って水晶体の弾性が失われ、ピントを調節する力が低下することが主な原因です4),5)。
老眼は、次のような症状からはじまります。
- 近くから遠く、遠くから近くへと、違う距離にある物にピントを合わせるのに時間がかかる
- 手元の細かい字が読みづらい
このような症状は徐々に進行し、一般に40歳前後から自覚され始め、40代半ば頃には日常生活で不便を感じる人も増えます。進行が緩やかなため、初期には気づきにくいことがあります。
放置すると、頭痛や肩こりなど、目以外の部位にも不調が現れる眼精疲労につながることがあります。症状に合わせて、照明や文字の大きさ、作業距離などを見直しましょう。
②目の病気
次のような目の病気が原因で、見え方が悪くなっている場合もあります。
- 白内障
- 緑内障
- 加齢黄斑変性
- ぶどう膜炎
これらの疾患のなかには、発見や治療が遅れると視力の回復が難しくなるものもあります6)。見え方に違和感がある場合は、「老眼だろう」「年齢のせいだろう」と自己判断せず、早めに眼科を受診しましょう。
見えにくさへの予防・対処法とは?
近視の発症や進行に関わる生活習慣への対策として、家庭では次のような点を意識しましょう。
- 室内に閉じこもらず、できるだけ野外での活動を増やす
- パソコンやスマートフォンなどを使用するときは、長時間近くを見続けない
- 近くを見る作業が続くときは、定期的に遠くを見て目を休める
- 適切な距離をとって見る
近年は、近視の進行を抑制する目的で、次のような治療や矯正方法が検討されることがあります。適応や効果、リスクは方法や患者の状態によって異なるため、眼科医と相談して選択することが大切です。
- 低濃度アトロピン点眼による治療7)
- オルソケラトロジー
- 多焦点ソフトコンタクトレンズ
- 特殊な眼鏡レンズによる近視進行抑制
※近視進行抑制を目的として行われる治療や矯正方法には、日本において当該適応で承認されていないものが含まれます。また、本記事は特定の治療法の有用性を保証または推奨するものではありません。
オルソケラトロジーは、特殊な形状のハードコンタクトレンズを就寝中に装用し、角膜の形状を一時的に変化させる屈折矯正法です。日中、眼鏡やコンタクトレンズを装用せずに良好な裸眼視力を得ることを目的とし、近視の進行を抑制する目的で行われることもあります。適応の判断や装用後の定期検査が必要なため、眼科医の指示に従って行います。
このように、近視への対策には生活習慣の見直しに加え、必要に応じて治療や矯正方法を検討する選択肢があります。見えにくさの原因や適切な対処は一人ひとり異なります。
よくある質問
Q. 「目が悪い」とは、どのような状態ですか?
A. 一般に、近視・遠視・乱視などによって目に入った光が網膜上に正しく焦点を結ばず、物が見えにくい状態を指します。ただし、加齢による老眼や目の病気が関係している場合もあります。
Q. 近視・遠視・乱視は、どのように違いますか?
A. 近視は焦点が網膜より手前に結ばれ、主に遠くが見えにくくなる状態です。遠視は焦点が網膜より後方に結ばれ、程度や年齢、目の調節力によって遠くも近くも見えにくくなることがあります。乱視は光が一つの焦点に集まらず、物がぼやけたり二重に見えたりする状態です。
Q. 最近、見えにくくなったと感じたらどうすればよいですか?
A. 見えにくさの原因は、屈折異常、老眼、目の病気などさまざまで、見え方だけでは判断できません。違和感が続く場合は眼科で検査を受けましょう。急に見え方が変わった場合は、早めに眼科を受診してください。
Q. 老眼は何歳頃から始まりますか?
A. 一般に40歳前後から自覚され始め、40代半ば頃には日常生活で不便を感じる人も増えます。ただし、自覚する時期や症状の程度には個人差があります。
Q. 近視の発症や進行に関して、日常生活で意識できることはありますか?
A. パソコンやスマートフォンなどで長時間近くを見続けないこと、近くを見る作業の合間に遠くを見て目を休めること、適切な距離を保つこと、無理のない範囲で屋外活動の時間を確保することが大切です。
Q. 近視の進行を抑える治療や矯正方法には何がありますか?
A. 低濃度アトロピン点眼、オルソケラトロジー、多焦点ソフトコンタクトレンズ、特殊な眼鏡レンズなどが検討されることがあります。適応や効果、リスクは方法や目の状態によって異なるため、眼科医と相談して選択します。
Q. 乱視はコンタクトレンズで矯正できますか?
A. 正乱視は、乱視の程度や目の状態に応じて、乱視用コンタクトレンズで矯正できる場合があります。一方、不正乱視には対応できない製品もあるため、眼科で目の状態を確認し、処方・指示に従って使用することが大切です。
まとめ
「目が悪い」と感じる背景には、近視・遠視・乱視などの屈折異常だけでなく、加齢による老眼や目の病気が関わることもあります。見え方だけで原因を判断することは難しいため、違和感が続く場合は眼科で検査を受けましょう。眼鏡やコンタクトレンズを使用する場合も、眼科医の処方・指示に従うことが大切です。
<参考資料>
1) 医療情報科学研究所 編:「病気がみえる vol.12 眼科」 第1版 メディックメディア, 2019
2) Rose KA, et al.:Ophthalmology 115(8):1279-1285, 2008
3) Lingham G, et al.:Br J Ophthalmol 104(5):593-599, 2020
4) 公益財団法人 日本眼科学会「老視(老眼)」
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=36
5) 公益社団法人 日本眼科医会「40代で始まる目の老化」
https://www.gankaikai.or.jp/health/37/
6) 公益財団法人 日本眼科学会「緑内障」
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=35
7) 低濃度アトロピン点眼液を用いた近視進行抑制治療の治療指針作成委員会(日本近視学会):「低濃度アトロピン点眼液を用いた近視進行抑制治療の手引き」 日本眼科学会雑誌 129(10):851-854, 2025
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/129-851.pdf
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