乱視とは?近視との違いや原因・症状・矯正方法について解説
近視と乱視にはどのような違いがあるのでしょうか。見えにくさを自覚し始めた方や、眼科で乱視といわれた方に向けて、乱視の原因や症状、矯正方法までを順に解説します。
作成日:2022/12/13 更新日:2026/10/05
※アキュビュー® の乱視用製品は不正乱視の矯正に対応していません。

この記事のポイント
- 乱視とは、角膜や水晶体の歪みによって焦点が一つに合わず、像がぼやけたり、ぶれたり、二重に見えたりする状態です。
- 近視では主に遠くのものがぼやけますが、乱視では距離にかかわらず、像がぼやけたり、ぶれたり、二重に見えたりすることがあります。
- 乱視の多くは眼鏡やコンタクトレンズで矯正できますが、乱視の種類や程度によって適した方法は異なります。見えにくさを感じる場合は、眼科で検査を受けましょう。
- セルフチェックだけで乱視の有無を判断することはできないため、見え方が気になる場合は眼科で検査を受けることが大切です。
乱視とは?
乱視とは、目の中で光の通り道にある「角膜(黒目の表面を覆う透明な膜)」や「水晶体(目の中でピント調節をするレンズの役割をする組織)」に歪みがあるため、見たいものにうまくピントを合わせられない状態のことです。
乱視は、角膜だけでなく、目の中でピント調節をする水晶体の歪みによっても起こります。
ピントが一つに合わないため、乱視の方は像がぼやけたり、ぶれたりして見えることがあります。遠くや近くなどの距離にかかわらず、「視界がぶれる」「二重に見える」などの症状が現れる場合があります。
また、見えにくさが続くと、集中力の低下や眼精疲労、頭痛を感じることがあります。乱視の矯正方法はさまざまで、近視や遠視の有無、目の状態、ライフスタイルによって適した方法が異なります。症状が続く場合は眼科で相談しましょう。
乱視の原因
上記のとおり、乱視は、目の中で光の通り道にある「角膜」や「水晶体」の歪みによって生じます。正乱視では光が方向によって異なる屈折をするため、焦点が一つにまとまりません。一方、不正乱視では光の屈折が不規則になるため、像がぶれて見えます。
乱視が生じるメカニズムには未解明な部分が多いものの、遺伝的背景の関与が疑われています。また、加齢による変化、目の外傷や手術、一部の眼疾患(翼状片・円錐角膜)などによっても生じます。
乱視による症状と種類
乱視は、大きく「正乱視」と「不正乱視」の2つに分けられます。
- 正乱視:角膜や水晶体が、ラグビーボールのように一定方向に歪んでいるものです。
- 不正乱視:角膜や水晶体が、不規則に歪んでいるものです。
正乱視
正乱視とは、角膜や水晶体がラグビーボールのように一定方向に歪んでいるために起こる乱視のことです。正乱視のほとんどは、生まれつきであるか、あるいは年齢を重ねたことによる変化が原因で引き起こされます。
さらに正乱視は、その歪みの角度によって次の3種類に分類され、それぞれ見え方が異なります。
- 直乱視:角膜や水晶体が、ラグビーボールを横向きに置いたような形になっている場合
- 倒乱視:縦向きになっている場合
- 斜乱視:斜めになっている場合

不正乱視
不正乱視とは、角膜や水晶体の不規則な歪みによって起こる乱視です。一般的には、角膜の表面が不規則に歪んでいることで起こります。光の屈折が乱れるため、ものが何重にもぶれて見えます。
不正乱視は、円錐角膜や翼状片などの眼疾患によって生じることがあります。そのほか、目の手術後や外傷の後遺症として起こる場合もあります。
関連記事リンク:不正乱視とは?症状や見え方・矯正方法について医師が解説します
近視、乱視は屈折異常
乱視は、近視と同様に網膜上で焦点を結ばない「屈折異常(目に入った光が網膜の上できちんと焦点を結ばない状態)」の一種です。
近視では主に遠くのものがぼやけます。一方、乱視では距離にかかわらず、像がぼやけたり、ぶれたり、二重に見えたりすることがあります。また、乱視はぶれる方向に特徴があり、縦や横にぶれて見えることがあります。
乱視は、近視や遠視に合併してみられることが多いといわれています1)。
近視と乱視の違い
近視と乱視には、さまざまな違いがあります。仕組み、見え方、矯正方法に分けてそれぞれ解説していきます。
比較軸 | 近視 | 乱視 |
|---|---|---|
焦点のできかた | 網膜より手前で焦点が形成される | 正乱視: 焦点が1カ所にまとまらない/不正乱視: 光の屈折が乱れ、焦点は結ばれない |
主な原因 | 眼軸(目の奥行き)が長すぎる、または水晶体や角膜の屈折力(光を曲げる力)が強い | 角膜や水晶体に歪みがある |
距離による見え方 | 遠くのものはぼやけ、近くのものは比較的はっきり見えることがある | 遠くでも近くでも、像がぶれたり二重に見えたりすることがある |
矯正に使うレンズ | 凹レンズ(周辺部より中心部が薄く、光を拡散させて焦点を網膜上へ移す) | 正乱視: 円柱レンズ(特定の方向の光だけを屈折させ、乱視の方向に合わせて焦点を1つにする) |
使える矯正手段 | 眼鏡またはコンタクトレンズ | 正乱視: 眼鏡・ソフトコンタクトレンズ・ハードコンタクトレンズ/不正乱視: 角膜の表面の歪みによる場合はハードコンタクトレンズ |
仕組みの違い
近視とは、裸眼でピントが合う位置が網膜より手前にある状態を指します。主な原因は、眼軸(目の奥行き)が長すぎることや、水晶体や角膜の屈折力(光を曲げる力)が強いことです。
この場合、手前にある焦点を網膜上へ移すための矯正を行います。

一方、乱視とは角膜や水晶体の歪みによって、焦点が1カ所に結ばれない状態です。
近視は網膜より手前で焦点が形成されるのに対し、正乱視では焦点が1つにまとまりません。このように、それぞれ異なる仕組みで見え方に影響を及ぼします。

近視と乱視の見え方の違い
近視は網膜よりも手前で焦点が形成されるため、遠くのものがぼやけて見えます。一方、近くのものは比較的はっきり見えることがあります。
正乱視では一つの焦点にまとまりにくいため、近くでも遠くでも、像がぶれたり二重に見えたりすることがあります。見えにくさが続くと、眼精疲労のほか、肩こりや頭痛を伴う場合があります。
さらに、暗い所ではよりたくさんの光を目の中に取り入れようと瞳孔が開きます。光の入る幅が広がることで、ぶれが大きくなり、症状を自覚しやすくなります。

矯正方法の違い
近視の矯正には、光の屈折だけを変える凹レンズの眼鏡またはコンタクトレンズが用いられます。
凹レンズは周辺部に比べて中心部が薄くなっているレンズです。レンズに入る光を拡散させるため、焦点を網膜上へ移動させることができます。
乱視には、角膜や水晶体が一定方向に歪む「正乱視」と、不規則に歪む「不正乱視」があります。多くの方に見られる正乱視は、円柱レンズを用いて矯正します。
円柱レンズでは、特定の方向の光だけを屈折させることができます。目が持っている乱視の方向に合わせて使用することで、焦点を1つにすることができます。
正乱視は眼鏡やソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズで対応できます。一方、不正乱視は眼鏡やソフトコンタクトレンズでは矯正できません。角膜の表面の歪みによる不正乱視の場合は、ハードコンタクトレンズが用いられます。
なお、乱視の矯正に使えるコンタクトレンズには、乱視用のカラーコンタクトレンズもあります。対応する度数や軸には製品ごとに範囲があるため、目の状態に合うものを選ぶことが大切です。


乱視のセルフチェック方法
眼鏡やコンタクトレンズをしていても見えにくいと感じる場合は、もしかすると乱視があるかもしれません。下の乱視表を使って、次の手順でセルフチェックしてみましょう。
- 近視や遠視のある人は、眼鏡やコンタクトレンズを使用した状態にする
- 片方の目を隠す
- 左右それぞれの目で、下の乱視表を見る
- 線の濃さや太さが不均一に見えるかを確認する
【注意】本ツール(放射線乱視表)は、医師による診断に代わるものではありません。

自宅でも簡単に確認できますが、結果だけで乱視の有無を判断することはできません。「乱視かもしれない」と感じる場合は、眼科で詳しい検査を受けましょう。
実際には均一な図なのですが、乱視がある場合は、下の図のように線の濃さや太さが不均一に見えます。一方、強い乱視がない場合や、乱視がきちんと矯正されている場合は、全ての線が同じ太さ・濃さに見えます。

乱視の矯正・対処方法
乱視の矯正
乱視をもつ全ての人が、対処を必要としているわけではありません。見えにくさを自覚する場合や眼精疲労を感じる方は、眼鏡やコンタクトレンズなどを用いて矯正することが望ましいです。
乱視の対処方法
1. 眼鏡の使用
眼鏡は目に直接触れず衛生的で、手入れが容易なため、最も手軽な視力矯正方法です。
【メリット】
- 乱視の軸に対応できる円柱軸の幅が広い
【デメリット】
- 強い乱視度数(円柱度数)では、視界の歪みや像のぶれが生じやすく、違和感を覚えることがある
- フレームによる視野の制限があり、スポーツ時には不便な場合がある
- 汗や雨でレンズがくもることがある
2. トーリックソフトコンタクトレンズの使用
トーリックソフトコンタクトレンズは、乱視を矯正するために設計されたソフトコンタクトレンズです。乱視の度数や軸に合わせたレンズを適切に装用することで、明瞭な見え方が期待できます。
【メリット】
- 眼鏡のような視野の制限がなく、スポーツ時にも安定して使用できる
- アクティブな人に適している
【デメリット】
- 装用感やフィッティングが重要になる
- 製作範囲が限られる
そのため、眼科医と相談の上、適切なレンズ選択をすることが大切です。
3. ハードコンタクトレンズの使用
ハードコンタクトレンズ(HCL)は硬い素材で作られています。角膜上で変形しにくいため、見え方が安定しやすいといわれています。
【メリット】
- 見え方が安定しやすい
- 角膜の表面の歪みによる不正乱視にも対応できる
【デメリット】
- 装用初期に異物感を生じやすく、慣れるまで時間がかかることがある
- 装用中にずれることがあり、特にスポーツ時には外れるリスクがあるため注意が必要
また、安全に使用するため、定期的に眼科を受診し、レンズの状態や目への適合を確認してもらいましょう。
4. 手術
手術によって乱視を矯正できる場合がありますが、適応や安全性、期待される効果は、乱視のタイプや目の状態によって異なります。
手術には、次のような方法があります。
- 角膜の形をレーザーで変える方法
- 角膜を切開する方法
- 眼内レンズを入れる方法
適切な手術法は、乱視のタイプ(正乱視か不正乱視か)や、白内障・円錐角膜などの眼疾患の有無によって異なります。検査結果を踏まえ、期待できる効果やリスクについて眼科医と十分に話し合いましょう。
まばたきで軸が合う。乱視でもぶれない安定した視界へ
乱視をきちんと矯正するには、乱視の向きとレンズの軸を常に合わせておく必要があります。ワンデー アキュビュー®︎ オアシス®︎ MAX 乱視用は、まばたきでレンズの回転を制御するアキュビュー®︎ 独自のレンズ設計を採用。自然にまばたきするだけで軸が合い、シーンを問わず疲れや乾燥感の少ない、快適で安定した視界を目指しました。
角膜に届く酸素量は裸眼時の約98%、UVカット機能付きです。1日使い捨てタイプでレンズケアも不要です。
乱視度数(CYL)や乱視軸(AXIS)は検査や処方に基づいて決まります。必ず眼科で検査・処方を受けてください。
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よくある質問
乱視に関する、よくある質問を紹介します。
Q. 子どもでも、乱視になることがありますか?
A. はい、乱視を発症することがあります。両親の乱視が強ければ強いほど、子どもの乱視発症リスクが高いという報告があります2)。
乱視が強いと視力の成長が妨げられ、矯正しても視力が上がらない「弱視」の一因になることがあります3)。小児の視力発達期に、適切な矯正が必要です。
Q. 乱視があると、見え方以外にどのような影響がありますか?
A. 乱視があると、目の奥の鈍痛・かすみ・充血に加え、肩こりや頭痛を生じることがあります。これらは「眼精疲労」の症状です4)。乱視を正しく矯正することで、眼精疲労が軽減されることがあります5)。
Q. 乱視は放置すると進行しますか?
A. 乱視の程度が変化するかどうかは、原因や目の状態によって異なります。見え方の変化や眼精疲労などが続く場合は、自己判断せず眼科で検査を受けましょう。
Q. 乱視がある場合は、必ず乱視用コンタクトレンズが必要ですか?
A. 必ずしも全ての方に乱視用コンタクトレンズが必要とは限りません。乱視の程度、見え方、近視や遠視の有無、ライフスタイルなどを踏まえて、適した矯正方法を選びます。
Q. 夜になると乱視の症状を感じやすいのはなぜですか?
A. 暗い場所では瞳孔が開き、目に入る光の範囲が広がるため、像のぶれやにじみを自覚しやすくなることがあります。夜間の運転などで見えにくさを感じる場合は、眼科で相談してください。
Q. 乱視用コンタクトレンズと通常のコンタクトレンズは何が違いますか?
A. 乱視用コンタクトレンズは、乱視の度数や軸に合わせて光の屈折を補正するよう設計されています。また、装用中のレンズの向きを安定させる工夫が施されています。
Q. 近視と乱視の両方があっても、コンタクトレンズで矯正できますか?
A. 近視と正乱視が併存している場合は、両方の度数に対応した乱視用コンタクトレンズで矯正できることがあります。対応できる度数や軸には範囲があるため、眼科で検査を受け、適切なレンズを選ぶことが大切です。
Q. 乱視の矯正では、眼鏡とコンタクトレンズのどちらが適していますか?
A. どちらが適しているかは、乱視の種類や程度、目の状態、使用する場面によって異なります。眼鏡は手入れがしやすく、コンタクトレンズは視野を広く保ちやすいため、それぞれの特徴を踏まえて生活に合う方法を選びましょう。
Q. 乱視があっても車を運転できますか?
A. 適切に矯正され、免許に必要な視力基準を満たしていれば運転できます。ただし、夜間に光がにじむ、標識が見えにくいなどの症状がある場合は運転を控え、眼科で見え方を確認してもらいましょう。
まとめ
乱視は、角膜や水晶体の歪みによって焦点が一つに合いにくくなる屈折異常で、遠くでも近くでも像がぶれたり二重に見えたりすることがあります。この点が、主に遠くがぼやける近視との大きな違いです。
乱視は、見えにくさだけでなく、眼精疲労や頭痛などによって生活に支障を来すこともあります。眼鏡やコンタクトレンズで適切に矯正することで、不便さや不快感が軽減される可能性があります。
見えにくさを自覚したら眼科で相談し、目の状態やライフスタイルに合った矯正方法を選びましょう。矯正後も定期的に受診し、コンタクトレンズや眼鏡が適切に合っているか確認することが大切です。
<参考資料>
医療情報科学研究所 編:『病気がみえる vol.12 眼科』第1版、メディックメディア、2019年
公益財団法人 日本眼科学会:「目の病気 病名から調べる」乱視、近視
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=28
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=26
1) 公益財団法人 日本眼科学会:成人の視力検査および眼鏡処方に関する手引き(日本眼科学会雑誌 129巻2号)
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/PrescribingGlassesAdultsClinical.pdf
2) Kam KW, et al.:JAMA Netw Open. 2022; 5(12): e2247795.
3) 石岡みさき:『小児プライマリ・ケアで診る子どもの眼疾患』第1版、南山堂、2024年
4) 日本小児眼科学会:さまざまな眼の病気
http://www.japo-web.jp/info_ippan_page.php?id=page37
5) 﨑元暢、澤充:Eye Bank Journal. 2020; 24(1): 42-45.
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