乱視度数や乱視の軸の見方とは?
コンタクトレンズに関する用語を解説
「乱視」は目の異常(屈折異常)の一つとして知られており、乱視の中でも、正乱視はソフトコンタクトレンズでも矯正することができます。
レンズの形状や度数(レンズの矯正力のこと)に関する情報はパッケージに記載されている記号や数字に記されていますから、見方さえ覚えてしまえば、レンズに関する情報を読み取ることができます。
ここではレンズのパッケージに表示されている情報の読み方や用語の意味を中心に解説します。
作成日: 2025/08/19 更新日: 2025/08/19

乱視とは1,2)
最初に、乱視について簡単に説明します。
「物がよく見える」ためには、目に入ってきた光を目の中にある網膜の1点に集め、鮮明な像を映し出すことが必要です。乱視は光を屈折させる角膜や水晶体が歪んでいるために、光を網膜の1点に集められない状態で、物がブレて見えてしまいます。このような異常を「屈折異常」と呼びます。近視や遠視も屈折異常の仲間です。
乱視では見るものとの距離に関係なく、二重に見えたりぼやけたりします。
乱視の軸とは
乱視には3つのタイプがあります。
直乱視
物が縦方向にブレて見えます。
倒乱視
物が横方向にブレて見えます。
斜乱視
物が斜め方向にブレて見えます。
これらの見え方は、下の図を参照ください。

このように、乱視ではブレる方向(角度)がある程度決まっていますから、乱視を矯正できる眼鏡やコンタクトレンズを装用すれば、鮮明な視界を得られやすくなります。この乱視の方向(角度)を示すのが、乱視の軸です。代表的な調べ方として、放射線乱視表での検査や、クロスシリンダーと呼ばれる特殊なレンズを用いることがあります。
コンタクトレンズの規格表示
コンタクトレンズの外箱やパッケージ(ブリスター)には、レンズに関するさまざまなデータが記載されています(規格表示といわれます)。

コンタクトレンズに記載されている用語の説明
コンタクトレンズの外箱やブリスターに記載されているアルファベットの略号には、下のような意味があります。
【全てのレンズに記載】
- BC(ベースカーブ)3):コンタクトレンズが目(角膜)に接する、レンズ内側の曲がり具合(曲率半径[mm])を表しています。例えば「BC9.0」は、レンズ内面のカーブが半径9.0mmの円の曲率に等しい、という意味です。
- POWER/PWR/P/D/SPH(度数:頂点屈折力(球面度数)ともいわれる)1,3):コンタクトレンズの矯正度数(球面度数)のことで、近視用はマイナス(–)、遠視用はプラス(+)で表されます。-3.00などと表します。度が入っていないレンズは、「POWER:0.00」などと記載されます。
- DIA(直径):レンズの直径(mm)を表しています3)。
- EXP(使用期限):未開封の状態でのコンタクトレンズの使用期限です。レンズの有効性、安全性、性能などを保証できる期限が示されています。必ず使用期限内に使用しましょう。
【乱視用のみに記載】
- CYL〔円柱(レンズ)度数:乱視度数、円柱屈折力ともいわれる〕3,4):円柱レンズの度数(乱視に関する度数)を示します。
- AXIS(AX;円柱軸)1,2,4):一般には「乱視の方向(角度)を表す」と説明されることが多いです。専門的にいうと、AXISには乱視を矯正するために使われる円柱レンズの軸(角度)が示されています。
コンタクトレンズを使用する際の注意点
レンズ性能の進歩、種類・購入方法の多様化、ケア用品の改良・進化、さらには使用開始年齢の低下などによって、コンタクトレンズ使用者数は年々増え続けています。その一方で、レンズの誤った取り扱いなどにより、目のトラブル(アレルギーなどによる炎症、感染症、ドライアイなど)を起こす人も増えています5)。コンタクトレンズは、デリケートな目に直接装用する「高度管理医療機器」です。以下の点に気を付け、正しく使用してください。
- 必ず製品の添付文書を読む:コンタクトレンズの使用前には添付文書をよく読み、書かれている取り扱い方法にしたがって正しく使用してください。
- 手指を清潔に:コンタクトレンズに汚れや細菌などがつかないように、着脱前には必ず石けんで手指を洗いましょう5)。
- 装用時間を守る:眼科医から指示された装用時間を守りましょう。
- レンズの使用期間を守る:各製品には決められた使用期間があります。1 日使い捨てレンズを2日以上にわたって使ったり、2週間頻回交換のレンズを開封してから2週間を超えて(15日以上)使い続けたりしてはいけません。
- 使用期限を過ぎたレンズを装用しない:コンタクトレンズには、有効性、安全性、性能などを保証できる期限があります。外箱やブリスターに書いてある使用期限を過ぎたものは使用しないでください。
- 適切にケアを行う〔1dayタイプ(1日使い捨て)を除く〕:コンタクトレンズを安全に使用するには、日々のケアが欠かせません。添付文書にしたがって、毎日きちんとレンズケアを行いましょう。
- 必ず定期的に検査を受ける5,6):毎日問題なく装用できているように思えても、知らないうちに目やレンズに傷がついていたり、目に病気が起きていたりすることがあります。コンタクトレンズを装用している人は、必ず眼科で定期検査を受け、レンズの状態やフィッティング、目の健康状態などをチェックしてもらいましょう。また、定期検査のスケジュールは、眼科医の指示に従いましょう。
乱視用コンタクトレンズを買う前に
コンタクトレンズは高度管理医療機器です。眼科医の検査・処方を受けてから使うようにしましょう。すでに眼鏡を持っている人は、眼鏡のデータが手元にあるかもしれませんが、眼鏡とコンタクトレンズの度数は常に一致するわけではありません。改めて眼科医の検査を受けて、処方に基づくレンズを購入しましょう。
まとめ
コンタクトレンズの外箱やブリスターには、ベースカーブや度数など、レンズに関するさまざまな情報が書かれています。ご自身が使っているレンズの情報を知りたくなった時は、上の解説を参考にして、数値を確認してみてください。
<参考資料>
1) 大野京子, 外園千恵. . 岩﨑優子, 張佑子執筆協力. 標準眼科学 第14版(中澤満ほか編). 医学書院, 2018, p.371-372, 375-377.
2) 植田喜一ほか. 目でみる眼鏡・コンタクトレンズの基礎と臨牀の進めかた. 金原出版, 2010, p.1-8.
3) 眼科ケア 2009年冬季増刊 眼科スタッフのためのCL(コンタクトレンズ)で困ったときに読む本. 2009, p.41, 77, 283.
4) 日本コンタクトレンズ協会:コンタクトレンズとは. https://www.jcla.gr.jp/contactlens/index.html,
[2025年4月12日アクセス]
5) コンタクトレンズ眼障害 ひと目でわかるトラブルシューティング(糸井素純, 稲葉昌丸編). 中山書店, 2006. p.66-81.
6) 前田直之. コンタクトレンズ Ad Libitum 改訂第2版(大橋裕一ほか編). 2004, p.59.