近視性乱視とは?コンタクトレンズでの矯正方法について医師が解説します
近視性乱視という言葉をご存じでしょうか。近視、遠視、乱視などの屈折異常のうち、近視と乱視が組み合わさった状態が「近視性乱視」です。この記事では「近視性乱視」とはどのような状態なのか、どのような仕組みで起こるのか、矯正はできるのか、について解説します。
作成日:2024/11/13 更新日:2025/04/13

近視、遠視、乱視とは?
目の構造はよくカメラに例えられますが、カメラのレンズに相当するのが角膜(黒目)と水晶体(目の中のレンズ)、フィルムに相当するのが網膜です。
人が「ものを見る」ためには、レンズである角膜や水晶体を通過した光が網膜上で1つに集まらなければなりません。この光が1点に集まったところが「焦点」です。
網膜上に焦点がある状態を「正視」、焦点の位置が網膜より手前にある状態を「近視」、焦点の位置が網膜の後ろにある状態を「遠視」と言い、近視も、遠視も「ぼやける」と表現される見え方になります。
一方、角膜や水晶体がラグビーボールのように歪んでいることが原因で起こる「乱視」は、焦点が1カ所に集まりません。
そのため、「2重に見える」、「視界がぶれる」といった表現されるような見え方になることがあります。程度の大小はありますが、ほとんどの人が乱視を持っています。
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近視性乱視とは?
程度の大小はあるものの、ほとんどの人が乱視を持っている、ということは、近視と乱視、遠視と乱視、といったように、屈折異常の状態が組み合わさることも珍しくない、ということです。
中でも近視と乱視が組み合わさった目の状態を「近視性乱視」、遠視と乱視が組み合わさった目を「遠視性乱視」と言います。では、近視と遠視が組み合わさったらどうなるの?と思われた方もおられるかもしれません。
近視と遠視については、網膜を隔てて手前か後ろに焦点の位置がずれる、相反する状態ですので、これら2つが組み合わさることはありません。
近視性乱視の矯正方法は?
近視性乱視の場合、近視と乱視が組み合わさっている目ですので、焦点を1つに集め、さらに網膜上に移動させるため、2種類のレンズを使って矯正を行います。
乱視の矯正:焦点を1つに集める
乱視とは、角膜や水晶体がラグビーボールのように歪んでいるため、焦点が1つに集まっていない状態です。
この状態は「円柱レンズ」という特殊なレンズを使うことで、網膜寄りの焦点は位置を変えず、角膜寄りの焦点を後ろに移動させることで、焦点を1つにまとめることができます。

近視の矯正:焦点の位置を網膜上に移動させる
焦点は円柱レンズで1つに集まりましたが、まだ網膜の手前にある状態、つまり近視の状態です。近視は「球面レンズ」という焦点の位置だけを変えるレンズで、網膜上に焦点が移動するように矯正します。

近視と乱視、両方の矯正が必要?
多くの方が、近視だけではなく乱視も持っています。だからといって全ての近視性乱視の人が、近視も乱視も矯正しなくてはならないわけではありません。
近視も乱視も、程度によっては日常の見え方に影響しない場合もあるため、近視性乱視であっても近視だけを矯正する、乱視だけを矯正する、といったこともあり得ます。
適切な矯正方法は、目の状態やライフスタイルによって異なるため、自己判断せず眼科で適切な検査を受けるようにしましょう。
近視性乱視はソフトコンタクトレンズで矯正できる?
近視性乱視は、ソフトコンタクトレンズの製作範囲内の度数であれば矯正可能です。
乱視の程度が軽く、近視の矯正だけが必要な方は、近視矯正用のソフトコンタクトレンズで対応することもあります。
乱視だけ、あるいは乱視に加えて近視の矯正も必要な近視性乱視の方は、乱視矯正用のソフトコンタクトレンズで矯正することができます。
乱視矯正用のソフトコンタクトレンズには、乱視を矯正する円柱レンズの強さを表す「乱視(円柱)度数(CYL・CY・C)」や、乱視を矯正する方向を表す「円柱軸(AXIS・AX)」、近視や遠視を矯正するレンズの強さを表す「球面度数(D・PWR・Pなど)」が記載されています。
右目と左目のレンズで度数が違う場合、装用する際に左右を間違えないように気をつけましょう。

※乱視の種類や度数によっては矯正できない場合があります。
※製品により表示が異なる場合があります。
まとめ
近視かと思ったら乱視があった、乱視かと思ったら近視性乱視だった、といったように、ご自身の目の状態を知るためには眼科での検査が必要です。
「目が悪い」と言っても、その原因はさまざまです。安易な自己判断は行わず、眼科を受診し、不安があれば眼科医に相談するようにしましょう。
<参考資料>
- 小林 義治 他 編:「視能学」 第3版 文光堂, 2022
- 所 敬:「屈折異常とその矯正」 改訂第7版 金原出版, 2019
- 松本 富美子 他 編:「視能学エキスパート」 第2版 医学書院, 2023
監修

道玄坂糸井眼科医院 副院長
糸井 素啓 先生
2010年に東京医科大学を卒業後、2012年に京都府立医科大学眼科学教室に入局。
同年より京都府立医科大学附属病院の円錐角膜・コンタクトレンズ外来を担当し、診療や研究に従事し、2021年に京都府立医科大学大学院 視覚再生外科学を修了。
2017年より道玄坂糸井眼科医院の副院長として診療に携わり、2022年にはさらなる研究の発展を目指し、University of New South Walesへ留学。2024年に帰国後、同大学のVisiting Fellowに就任し、引き続き道玄坂糸井眼科医院の副院長として診療と研究に取り組んでいる。
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